【岡山・総社】御崎神社 ~ 愛の「謎かけ」がある神社

この神社は珍しい。鳥居を入ると回廊が迎えてくれる。鳥居に入ると拝殿まで雨が降っていても濡れない。これは祀られている神様のためか参拝してくる人のためか、またはその両方だろう。

この神社で特筆する点は、ほかにもある。大化の改新(645年)で作られた郡家(郡役所)の跡にできた神社でその堀が今に残る。そう1500年前の遺構が残っているのだ。

この堀に何人の子供が落ちただろうか・・・。

その郡家の郡司の娘が黒日売(クロヒメ)で、『古事記』によると美人で妃として宮中に召されたが、皇后の嫉妬を受け実家の吉備に逃げ帰ったとある。その後、吉備の国の文化につくし里人に尊敬され郡家で没したと伝えられており、境内の石殿に祀られている。

さて、ここからが私の勝手な解釈、つまりロマンの話だ。今もそうだが、「松」を「待つ」にかけたりして言葉遊びをすることがある。昔の人は、言葉遊びをしながら、実は本当に言いたいことを違う漢字をあてて隠すことがある。

黒日売がこの地域の人に愛されていたのだろうと思う。「御埼」は「御妃」ともとれるし、実際に境内の彼女が祀られている「須賀」神社は、「よすが」(ゆかり。身や心を寄せる所。(頼りとする)縁者。夫など。)をあらわしている気がする。要は、「黒日売様はれっきとした妃だし、愛してくれる夫(仁徳天皇)がいたのですよ。後世の皆さん!」と言っている気がする。前段の回廊も神となり祀られている彼女が濡れないようにと作られたのかもしれない。

そんな仕掛けを考えた人は名プロデューサーだと思うが、そうさせた黒日売は美しく人間的にも素晴らしい人だったのだろう。まあ、考えすぎだろうが、いろいろ考えていくとロマンがある。総社にはこの辺のロマンがちりばめられている。

最後に蛇足だが、境内にある備前焼の狛犬がハリウッド女優のクロエ・モレッツになんとなく似ていて愛らしい。名前もなんとなく黒日売(クロヒメ)とクロエ・モレッツは似ているのだ。

黒日売の愛と美しさ、人望などがなんとなく漂ってくる神社に参られてみてはいかがだろう。

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